書籍の内容
世界的に肥満が蔓延する中、わが国でも肥満やメタボリックシンドロームの急増に警鐘が鳴らされている。肥満の疫学研究について解説するとともに、肥満が社会に及ぼす影響や肥満の原因、肥満が関わる疾患について現在の知見を集約した待望の書。肥満の研究・予防・治療に携わる人に。
【原書名】
Frank B. Hu, Obesity Epidemiology, Oxford University Press, 2008.
訳者一覧はこちら
フー氏による日本語版へのことばはこちら
日野原重明氏による推薦のことばはこちら
書籍の目次
第Ⅰ部 研究デザインと調査方法
第1章 肥満疫学への序説
1 疫学の歴史的発展過程
2 肥満研究の歴史的視点
3 肥満の疫学モデル
4 肥満疫学の研究領域
第2章 肥満者割合推移に関する記述疫学
1 肥満者割合の推移をたどる
2 米国成人の肥満推移
3 米国小児の肥満推移
4 肥満の国際的動向
5 まとめ
第3章 肥満研究における分析疫学研究のデザイン
1 生態学的研究
2 横断研究
3 症例対照研究
4 コホート研究
5 まとめ
第4章 疫学研究結果の解釈と肥満研究における原因の推論
1 無作為化比較試験の役割
2 交絡
3 因果の逆転
4 測定について
5 介在と効果修飾
6 妥当性と一般化可能性
7 人口寄与危険割合の計算と解釈
8 肥満疫学における因果の推論
9 まとめ
第5章 体脂肪蓄積と体組成の測定
1 体組成測定の参照法
2 フィールド調査における体組成測定法
3 身体計測法
4 まとめ
嚥下障害研究会
第6章 食事調査法
1 肥満疫学研究における食事調査法
2 バイオマーカー
3 食事調査法の妥当性の検証
4 繰り返し測定による食物摂取頻度調査票の妥当性の向上
5 総エネルギー摂取量の過小申告とその調整
6 測定誤差の較正
7 食事パターン解析
8 まとめ
第7章 身体活動の測定方法
1 概念の定義
2 低い身体活動と座位生活
3 非運動性エネルギー消費
4 身体活動の測定
5 客観的な測定方法
6 身体適応性
7 自己記入法
8 身体活動質問票の妥当性研究
9 測定誤差の補正
10 まとめ
第Ⅱ部 肥満の影響に関する疫学研究
第8章 肥満がもたらす代謝の病態
1 メタボリックシンドロームを定義づける
2 内分泌器官としての脂肪組織
3 肥満と全身性炎症
4 肥満とインスリン抵抗性
5 肥満と血管内皮機能障害
6 肥満と高血圧
7 肥満と血中脂質異常症
8 肥満と血栓形成因子
9 肥満と2型糖尿病
10 肥満とメタボリックシンドロームの"旅路の伴"
11 まとめ
第9章 肥満と心血管疾患
1 BMIと冠動脈疾患リスク
2 BMIと体脂肪分布の相対的重要性
3 肥満と冠動脈疾患リスクを媒介する心血管危険因子の役割
4 体重増加と冠動脈疾患リスク
5 意図した体重減少と意図しない体重減少の比較
6 冠動脈疾患を予測する上での肥満度と身体適応度の比較
7 肥満と脳卒中
8 肥満と心不全
9 肥満と他の心血管疾患
10 まとめ
"置くことができるマルチメディアプロジェクトをデザインする"
第10章 肥満とがん
1 はじめに
2 脂肪蓄積とがんリスクの疫学
3 がんの帰結に対する脂肪蓄積の影響
4 方法論上の問題点
5 研究上の課題
第11章 肥満と死亡率
1 肥満と死亡率との関係を解析する際の方法論上の諸問題
2 BMIと死亡率
3 脂肪の分布と死亡率
4 体重の変化と死亡率
5 肥満度、身体適応度と死亡率
6 肥満・損失生存年数・寿命
7 まとめ
第12章 肥満と健康に関する生活の質
1 はじめに
2 HRQOLの測定
3 肥満・体重の変化とHRQOL
4 主要な論点と今後の課題
5 まとめ
第13章 肥満の及ぼす経済コスト
1 はじめに
2 肥満による経済負荷の分類
3 経済コストの推定方法
4 肥満による経済負荷を背負うのは誰か
5 知識の差と将来の研究
第Ⅲ部 肥満の要因の疫学研究
第14章 食事、栄養と肥満
1 主要栄養素
2 食品と食品群
3 まとめ
第15章 身体活動、座位生活と肥満
1 身体活動のパターンと年代による傾向
2 身体活動と肥満に関する生態学的研究と横断研究
3 身体活動と肥満の前向き研究
4 身体活動と肥満の疫学研究に関する方法論的問題
5 まとめ
第16章 睡眠不足と肥満
1 はじめに
2 睡眠と体重調節をつなぐメカニズム仮説
3 子どもにおける研究
4 成人における研究
5 因果の逆転
6 交絡
7 測定誤差
8 睡眠の生物学
9 今後の課題
従者の程度と職業は何ですか
第17章 肥満の社会的規定因子
1 はじめに
2 社会人口学的特徴
3 社会経済的位置
4 居住地域の特性
5 心理社会的要因
6 新しい研究方法
7 まとめ
第18章 代謝性・内分泌性の肥満予測因子
1 安静時代謝率
2 呼吸商
3 インスリン抵抗性
4 レプチン
5 アディポネクチン
6 グレリン
7 炎症マーカー
8 コルチゾール
9 まとめ
第19章 肥満の発生期発達期起源
1 肥満の予防は胎児期からはじめなければならない
2 低年齢の小児の肥満の判定は難しい
3 慢性疾患へのライフコースアプローチと健康と疾患の発生期発達期起源説はひとつに収束する概念である
4 健康と病気の発生期発達期起源説に関する観察研究
5 研究者は発生期の変容可能な決定要因を明らかにしようとしている
6 臨床医学、公衆衛生施策への応用の可能性と今後の方向性
第20章 小児期肥満の原因とその影響
1 はじめに
2 定義
3 肥満の予測因子
4 食事と体重増加
5 食行動
6 身体の健康への影響
7 社会的、心理的な影響
8 測定方法
9 まとめ
第21章 肥満をひき起こす遺伝的予測因子
1 単一遺伝子型肥満症の遺伝学
2 遺伝による肥満の発症
3 通常の肥満に関連する遺伝子
4 肥満の関連性研究における方法上の問題
5 まとめ
第22章 遺伝子と環境の交互作用と肥満
1 遺伝子と環境の交互作用の概念的モデル
2 遺伝子と環境の交互作用の統計学的モデル
3 遺伝子と環境の交互作用を評価する研究デザイン
4 方法論的問題
5 まとめと展望
補 章 日本における肥満の疫学
1 日本の肥満の基準および記述疫学
2 肥満と心血管疾患発症
3 肥満とがん
4 肥満度と死亡率
5 肥満と高血圧・糖尿病・脂質異常症
6 日本のこれからの肥満対策
書評紹介
『週刊 日本医事新報』 (No.4564 2011年10月15日、評者 : 門脇 孝 氏)
『栄養学雑誌』 (2010/2・VOL.69・NO.1、評者 : 田中平三 氏)
『肥満研究』 (2010・VOL.16・NO.3、評者 : 宮崎 滋 氏)
『健康管理』 (2011/2号、評者 : 宮崎 滋 氏)
関連書籍の紹介
『基礎からの睡眠医学』 古池保雄 監修/野田明子・中田誠一・尾崎紀夫 編
0 件のコメント:
コメントを投稿